2025年10月から会社員らのリスキリング(学び直し)への支援が拡充される。雇用保険に加入する労働者が、自発的なリスキリングのため連続30日以上の無給休暇を取得すると、賃金の一定割合を「教育訓練休暇給付金」として受け取れる。
雇用保険に5年以上加入している会社員やパート勤務の人が対象で、申請は会社員などの本人が行う。給付額は休暇前の賃金(手当など含む)の5〜8割程度となる。対象期間中でも社会保険料は免除されないが、非課税となる。
雇用保険の加入期間が長ければ給付期間も長くなる。具体的には5年以上10年未満の加入で給付は最長90日、10年以上20年未満で同120日、20年以上は同150日。ただ一旦受給されると雇用保険の被保険者期間がリセットされて、一定期間は失業給付が受けられなくなる。
対象となる学びは、資格取得のための講座から海外留学までと幅広い。教育訓練休暇給付金の金額はリスキリングの費用と連動しないが、雇用保険から講座受講費などの一定割合が補助される「教育訓練給付金」との併用は可能である。
日本は長期の学びが広がっていない。経済協力開発機構(OECD)の調査では、企業研修など短期のリスキリング参加率は29.7%で、他国と比べ遜色ない。その一方で、大学や専門学校での1学期以上のリスキリング参加率はわずか1.1%と、31カ国中最低。リスキリングの阻害要因は「仕事で時間が取れない」が4割を占めた。
また厚生労働省の調査(2024年度)では83.4%の企業に教育訓練休暇制度がなく、導入予定もなかった。その理由としては、約5割が「代替要員の確保が困難」を挙げた。
人工知能(AI)の登場などで労働環境の変化は激しい。世界経済フォーラム(WEF)が世界の労働力を100人とした試算では、2030年までに59人にリスキリングが必要とされている。